出産して初めて感じた圧倒的な孤独感

大学に入学した18歳から、結婚する31歳までの実に13年間、

実家から飛行機の距離というかなり遠方で一人暮らしをしていました。

数年単位で県内のあちこちに転勤する職業だったので、

引っ越し先で友達ができることもあまりなく、忙しい仕事だったので基本的には家と職場の往復。

「おひとり様」には慣れっこでした。

こんな私なので、遠距離恋愛の末に夫の住む見知らぬ県に引っ越し、妊娠や出産をしたときに、

今更「ひとりぼっちで寂しい」みたいな感情に支配されるとは思ってもみませんでした。

 

出産は、遠方の実家に里帰りして行いました。

協力的な両親、慣れ親しんだ地元。

何の寂しさを感じる余地もないはずでした。

 

ところが出産後。

昼も夜もなく、ひたすら授乳、おむつ、沐浴、片付け、寝かしつけの日々。

顔を合わせるのは両親のみ。

この世に、赤ちゃんと自分と両親しかいないような、わけのわからない寂しさをいつも感じていました。

 

娘が生後一カ月半になる頃、自宅に戻ると、その寂しさはいっそう強くなりました。

夫は育児に協力的で、娘をとても可愛がってくれました。

けれど朝になり夫が出勤すると、アパートの黒い重たい玄関のドアが閉まると、私は部屋に娘と二人きり。

 

妊娠後期まで、私は引っ越し先でも仕事をしていました。

毎日出かける職場があり、何人もの人と挨拶を交わし、仕事に関する会話をしました。

それが産後は、ずっと赤ちゃんと二人きり。

育児書どおりに、娘に話しかけることはしょっちゅうしていました。

出かけるに気持ちの良い季節だったので、散歩にも出かけたし、もちろん買い物も行っていました。

テレビやネットも利用できました。

実家の母ともしょっちゅう電話をしていました。

だけど、「寂しい」という気持ちは消えないどころか、日増しに強くなっていきました。

娘に話しかけても、当たり前だけど返事はありません。

散歩や買い物に行って、通りすがりの人と挨拶したり店員さんと話したりはするけれど、その場限りのことです。

実家の母とは電話で声は聞けても、実際に会うのとは違います。

 

何より、働いていた頃と違って、会う人間の数がものすごく少なくなった。

働いていた頃は「○○の部署で○○を担当する○○さん」と皆に認識されていたのが、

今の私はただの赤ん坊を抱いた主婦。名前で呼ばれることもない、ただの通りすがりの人間。

世界中から私と娘だけ取り残されてしまったような圧倒的な孤独感を感じました。

 

独身の頃の私が見たら、夫がいて子供にも恵まれて、生活に不自由していなくて、

「いったい何が不満なの!?なんて贅沢な悩みなの!?」と感じたと思います。

でも、本当に寂しかった。

 

娘の首が座るころ、子育て支援センターに通うようになりました。

そこで、「会員証」をもらいました。

何度も通ううち、職員さんから名前を憶えてもらいました。

少しずつ、ママ友ができていきました。

そのときの、少しずつ光がさしていくような、少しずつ呼吸が楽になっていくような気持ちは、

今でも覚えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL